はじめに
チョコレートを買ってきて冷蔵庫や部屋に置いていたら表面に白いカビのようなものがあった経験はありませんか?あれはカビではなく、正体は「ブルーム」と呼ばれるものです。(Bloom)には「開花」や「花が咲く」という意味があります。チョコレートの場合は白く広がる見た目から呼ばれているそうです。
今回の記事では、健康に影響があるのかどういった条件で発生しやすいのか、また対策方法も合わせて解説します。
ブルームとは何なのか
「ブルーム」とはチョコレートの表面に白い粉のようなものが現れる現象のことです。
見た目は劣化しているように見えますが、これはチョコレートの成分が特定の条件下で変化した結果です。食品としての安全性には問題ありません。ただし、味や食感、見た目に影響が出るため注意が必要です。
どうして発生するのか
ブルームには主に2種類あります。それは油脂と砂糖です。
1. ファットブルーム(油脂ブルーム)
原因:
チョコレートに含まれるカカオバター(油脂)が溶けて再結晶化することで発生します。
- 高温でチョコレートが一度溶け、冷える際にカカオバターが表面に浮き出る。
- 保存温度が安定せず、温度変化が激しいと発生しやすい。
見た目:
白っぽく粉を吹いたような曇った状態。
発生条件:
- 保存場所が暑い環境(25℃以上)や直射日光の当たる場所。
- 温度差がある場所に頻繁に移動させること。
2. シュガーブルーム(砂糖ブルーム)
原因:
チョコレート表面の砂糖が結露(水滴)によって溶け、再結晶化することで発生します。
- 冷蔵庫などから取り出した際、急な温度変化で表面に水滴が付着。
- 湿度の高い場所で保存した場合。
見た目:
ザラザラした表面や、水滴が乾いた跡のような白い模様。
発生条件:
- 冷蔵庫や湿気の多い環境に保存した後、急激に温度が上がったとき。
- 湿度が高く、表面が水分を吸収しやすい状態。
ブルームの対策方法
対策方法は種類ごとに異なるため、一つずつ解説していきます。
1. ファットブルームの対策
ファットブルームは、温度変化によるカカオバターの再結晶化が原因で発生します。このため、「温度管理」が対策の鍵となります。
適切な保存温度を保つ
- 温度の目安: 16~20℃の一定した涼しい環境が理想的です。
- 注意点:
- 高温多湿の場所(25℃以上や直射日光が当たる場所)を避ける。
- 冷蔵庫保存も温度差でブルームを引き起こす可能性があるため注意が必要。
直射日光や高温を避ける
- 保存場所: チョコレートは暗くて涼しい、風通しの良い場所に置きます。
- 移動時の注意: 暑い時期や車内などでの持ち運びには保冷バッグを使用すると安心です。
温度変化を最小限に抑える
- 環境の安定性: 保存場所を頻繁に変えたり、エアコンの吹き出し口近くに置くことは避けます。
2. シュガーブルームの対策
シュガーブルームは、湿気や温度差で表面に結露(水滴)が生じた際に、砂糖が溶けて再結晶化することで発生します。そのため、「湿度管理と結露防止」が重要です。
湿気を避ける
- 理想的な湿度: 湿度50%以下が最適です。
- 保存場所:
- 湿度の高い場所(流し台の近くや炊飯器の近くなど)を避ける。
- 必要に応じて乾燥剤を使用する。
冷蔵保存時の注意点
- 冷蔵庫で保存する場合は、以下の手順で結露を防ぎます:
- 密閉容器に入れる: ジップロックや密閉可能なタッパーを使用して湿気を遮断します。
- 冷蔵庫から出した後は常温に戻す: 密閉状態のまま室温で1~2時間置き、温度差を緩やかに解消してから開封します。
急激な温度変化を避ける
- 冷蔵庫→室温の移動で急激な温度差が生じないようにします。
- チョコレートを冷暗所に置く場合も、すぐに極端に暖かい場所に移動させないことが大切です。
3. 一般的な保存のポイント
- 元の包装を保つ: チョコレートの包装は湿気や光を防ぐ役割があります。そのまま保管するのがベストです。
- 開封後の保存:
- 空気に触れると湿気を吸いやすくなるため、再密閉して保存します。
- 冷蔵保存する場合は、乾燥剤と一緒に密閉容器へ。
応急処置としてのリカバリー方法
もしブルームが発生してしまった場合でも、以下の方法で見た目を多少改善することが可能です:
- 低温でゆっくり溶かす: 40~45℃程度の湯煎でチョコレートを溶かし、再度固めることで見た目が改善される場合があります。
ブルームによる影響はあるのか
ブルームによって食感や見た目に変化が生じます。しかし、「安全面に関して大きな問題はない」です。
1. 見た目の変化
- 白っぽい粉状の表面になるため、チョコレート特有の光沢が失われます。
- ファットブルームでは曇ったような外観に、シュガーブルームではザラザラした模様が現れることがあります。
- 結果: 贈り物や装飾に使用する場合、美観が損なわれる。
2. 食感の変化
- なめらかさが失われることがあります。
- ファットブルーム: 表面が粉っぽく、少しもろい食感になることがあります。
- シュガーブルーム: 表面がザラザラして、滑らかさが損なわれます。
- 結果: チョコレートの高級感や上質な口どけが失われる。
3. 味への影響
- 大きな味の変化はありませんが、以下の点が影響することがあります:
- ファットブルーム: 再結晶化したカカオバターが油脂感を増し、わずかに口当たりが重たくなることがあります。
- シュガーブルーム: 表面の砂糖結晶が感じられることで、微妙に甘みや風味が変わることがあります。
- 結果: チョコレート本来の風味を楽しみにくくなることがあります。
4. 安全性について
ブルームは食品としての安全性には問題ありません。
- ファットブルーム、シュガーブルームともに成分が物理的に変化しただけで、腐敗やカビとは異なります。
- 保存条件が悪い場合、湿気が原因でカビが生えることがありますが、ブルームそのものはカビではありません。
まとめ
チョコレートブルームによる影響は、食感や見た目のみであり健康や安全面には問題はありません。それでも、チョコレート本来の味わいを落としてしまうため贈り物として買ったチョコレートには最適ではありません。保存方法に気を付けておいしく食べましょう。
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